京都演劇フェスティバル 参加作品
  「MINE〜ある私のモノローグ〜」
      お稽古から本番まで・・・総集編?!


皆さん、こんにちは!!・・というよりお久しぶりになってしまいました。去年のクリスマス公演「1999年の夏休み〜COUNTDOWN OF 1999〜」の終了後、演フェスの準備に入った為、FAの内部は正に戦争状態・・スタッフもキャストも必死で本番の舞台にのぞみました。・・・それにしても、無事終わってよかった・・ハァ〜^^

* さようなら、1999年・・そして、正月返上!!
「1999年の夏休み」で明け暮れた「1999年」が終わろうとしている大晦日、クリスマス公演の終了後、一気にゴムの切れた脚本家 NはFAのOG操さんのお家で「2000年」を迎えようとしていた。・・テレビでは間もなくやってくる「2000年」をカウントダウンしはじめた。Nは積もり積もった「1999年」の疲れか・・「2000年」が近付くにつれ何故かどんどん眠気におそわれ、年越しそばを食べた後即、眠りこけてしまった。一緒にいたみんなは楽しく大晦日から元旦を過ごしたのに、Nが目をさましたのは朝になってからだった・・。2月演フェスの脚本締め切りを目前にひかえて寝ていていいのか?寝るな!寝たら死ぬぞ!!・・・元旦の夜からNが徹夜の脚本書きをするハメになったことは言うまでもありません!

〜初詣・・そして初稽古
FAメンバーが揃っての初詣の様子は「1999−」お稽古場日記にも書きましたが、その時点ではみんなの頭はまだ12月「1999−」公演のモードだったのでこれからやってくる[MINE]の修羅場を予想だにしなかった。・・というか予想したくなかった・・のだろう。公演がおわって1週間・・ダイエット命令解除で「1999−」に出演していたみんなは、しっかり食べてお正月を楽しんでいた。・・というか再び出るであろうダイエット命令にそなえていた・・のだろう。とにかく、そろっての初詣で今年の劇団の発展と各々の芸事成就を願ったFAメンバーの「2000年」がスタートした。・・そして初稽古の日、脚本家Nの徹夜作業で出来上がった新しい脚本を手に本読みが始まった。今回の作品に「19−」公演から続いて出演している葵かずき、可愛あき・・この2人は「和彦」「則夫」がともに抜けきらないようで、第1回目の本読み終了後に「キャラがぬけない〜」・・とジタバタして苦しんでいた。特に葵かずきはこの作品では男女両方の役を演じる為、「女」のセリフが[和彦]化して「気持ち悪いよ~・・」と自分を責めていた。たしかにこの2人の雰囲気はこの時点ではまだ少年モードだったなー。切り替えに苦労したのね、お2人さん!!

〜可愛あき、衣装をきて「やせないと・・・」とポツリ・・^^
[MINE]公演で可愛あきの役は主役葵かずきの心の中に眠っていた希望をよみがえらせる天使のような役どころで真っ白のフワフワの衣装を着て舞台の高い位置に吊られたブランコにのって降りて来る・・。衣装合わせで自分の衣装を渡された可愛・・試しに衣装を着てみてその姿をじっと見つめ一言「・・・やせないと・・」白い衣装はこわい。ただでさえ舞台では膨張して見えるのに白だとなお更・・。可愛って因果な役者だ・・「19−」公演の時は則夫役で生うさぎのポテトと格闘し今回は白い衣装に4mの高さのブランコ・・・。でも試練は大きいほどいい女優になれるのよ、多分ね・・。可愛はつぶやく、「次は何をやらされるんだろう・・?!」わかりません・・達者でな、あきちゃん。

〜葵かずき、デミー・ムーアに変身!?
去年の洋画でデミー・ムーアが主演した「G.Iジェーン」という映画をご存知ですか?
特殊任務のチームで女ながらも鍛え上げた体で任務に挑む女性G.Iの物語です。この映画の中のデミー・ムーアは本当にすごい筋肉美だったのですが今回ダンスシーンが多い葵かずき・・正月明けから毎日のようにダンスレッスンに通っていた為、このデミー・ムーアに負けない筋肉美?・・になっていた。[19―]公演のときの華奢な「和彦」はどこへ行ってしまったの?「MINE」公演終了後、改めて「1999−」と[MINE]を続けてビデオでチェックしていた可愛あきと葵かずき・・自分たちの別人度に驚きというか・・なんというか笑いが止まらなかったらしいです。可愛はビデオ画面に映っている「葵」=和彦を見て・・「こんな人、メンバーにいましたっけ?」・・って、おいおい!!

〜時間がないのに・・・。
今回はお正月明けから演フェスのお稽古に入っていて、ただでさえ時間がないのにパフォーマンス・ミュージカルということで歌やダンスのシーンが多い。それだけでも大変なのに脚本は心理的比喩の表現だらけで、同じようなセリフが次々と出てくる。言いにくい、おぼえにくい、やりにくい・・。誰じゃ、こんな時期にこんな大変な脚本書いたのは!出演したキャストはみんな少なからずそう思っていたらしい。書いたN当人も「こんな難しいセリフ、よくおぼえるね?!」と言っていた。書くなよな、わかってるんならさ!!

〜衣装がこわい!(part2)
2月に入るとあわただしく総合衣装合わせと衣装着用でのリハーサルが行われた。今回の舞台に客演してもらっている「男」役のとっくんさんは上下とも真っ黒の衣装で、渋くてかっこいいと思っているみんなを尻目に「このままじゃだめだ。今から本番に間に合うように3倍速ダイエットしなくては!!」といっていた。あぁ、努力の人だ・・しかし、3倍速ダイエットとは・・なんか、ビデオ録画みたいだ。そして、葵かずき・・・モノトーンの衣装で肩ひもの黒レオタードに背中全開(!)の白Tシャツ、下は黒のパンツ型スパッツ。似合ってないわけじゃないけど、今までそこまで露出して舞台に立った事がなかったので・・なんか・・変。(すまぬ!!)背中も筋肉GIジェーンだし・・。
葵かずき、お稽古場の鏡前でボディビルダーのまねをして「わー、すごい!こんな所にも筋肉!おもしろ〜い!!」・・面白がるなよ・・自分の体なんだから。脳天気なのは本人だけで、いつもの葵の舞台を知っている周りのみんなは・・実は、こわかったらしい。(実際、本番の舞台をみたお客さんの中で「今、踊ってた人・・男?女?」と悩んでいた方がいたようです。・・スタッフさん[談]・・)やっぱりなぁ・・。

〜音響、オオヒガシ・・DJ−KOOになる!
今回の舞台はいわばFA実験劇場という感じなので、普段のステージとはかなりちがう。
特に「MINE」のステージでは音響ブースを舞台上に設置し表現の生まれる瞬間を感じてもらいたいという演出上のねらいから音響担当のオオヒガシ舞台上で音響オペレーション、キーボード・ピアノ演奏、マイクを通してのセリフ・・と神業のような仕事をこなしている。その姿はレコード盤こそ回さないがまるでクラブDJのようである。今度からあなたをFAのDJ−Kooと呼ぼう!!

〜可愛あき、ブランコに泣く!
舞台監督Tが可愛あきに言った。「ブランコで吊れるのは体重40kg未満だから・・」可愛はひきつった顔で「えっ?!本当ですか?」・・T「うん。」可愛「どうしよう・・40kg未満なんて・・」・・真剣に悩んでいた。そんなわけあるかい!舞台のバトンは重い照明機材を吊るしたりするのに。これだからみんな可愛あきをペットのようにからかいたがるのだ・・。よっ!劇団のたれぱんだ!!・・そして舞台本番、4mのところに吊るされたブランコは舞台の高さと可愛の目の位置を計算に入れると6m近くになる。はじめは「楽しい」と言っていた可愛・・時間が経つにつれだんだんこわくなってきたらしい。出番のラストあたりでは「早く降ろして・・キャ〜ッ・・!」というかんじだったそうで。ビデオでチェックしてみるとはじめはかわいらしく組んだ足をブラブラしているのに後半になると硬直しているように見える。本当にこわかったらしい・・・。

〜なんか変?!
今回の舞台では久しぶりにアイライン入りのしっかり舞台化粧の指示が出た。考えてみれば最近のFAの舞台ではあまり舞台化粧をしていない。「19−」公演の時も、少年らしい感じを出す為にメイクはほとんどナチュラルメイクだったし・・。アイラインの入った顔を見て葵が言った。「なんか・・変?!」・・いえ、あなたが変なのは今回メイクだけではないのだが・・。(再び、すまぬ!)可愛あきが葵をじっと見て少し寂しげに言う。「すっかり、和彦が抜けちゃいましたね。再演の時は戻ってくださいね・・。」そうか、そうか・・可愛「則夫」は葵「和彦」の事、本当は好きだったのね、嫌いなのかと思っていた。

〜さて、本番の日・・!
今回の演フェス「MINE」公演は本公演と違い他劇団の舞台もあるので楽屋が1部屋しかありません。当然ながらスタッフ、キャストの相部屋になります。当日午前9時に集合したFAメンバーは楽屋に集まり挨拶の後、10時50分から行われるリハーサルに向けて舞台監督Tからの指示を受けていました。ダンスシーンの多い葵かずきは、
早くウォーミングアップを始めたかったらしく男性スタッフが何人もいる部屋の中でさっさと着替え始めた。これには着がえている本人よりまわりの方が気を使ってしまったようで・・。上から下まで全部着替えてからはじめてこの事実に気づいた葵は・・「あ、ごめん・・気にしてなかった。」・・そりゃあ役者の着替えなんてスタッフは気に止めたりしないけど、新人スタッフ(男性2名^^)はびっくりしてたよ。

そして、リハーサルがはじまる!本公演では丸1日かけてやる準備を演フェスでは1時間でやらねばならない。スタッフ、キャストともに戦争状態のいそがしさ・・照明、音響、舞台の全てを短時間に調整していく。嵐のようなリハーサルが終り、メンバーは各々の予定にそって行動しながら本番を待つ。開演時間が近づき、あき・まゆ・音響を舞台上でやりながら芝居をする、まり・・そして客演のとっくんさんはセリフの確認をはじめる。葵はウォーミングアップした体が冷えないよう山ほど重ね着をしてストレッチをしながらセリフを確認している。そして、舞台にかかわるFAスタッフ約10人もそれぞれの仕事の準備に入る。どれひとつかけても舞台は成り立たない・・チームワークの結晶なのだ!!

そして開演時間・・・午後4時、舞台本番がはじまる。
お稽古期間が短く、心配の声が聞こえたこの「MINE」公演は大きなミスもなく・・・というよりどのキャストも完全に自分の世界に入っていて、いい舞台に仕上がった・・と思う。内容的にはいつものFAの舞台とはちがい芸術劇場(?)みたいなかんじだったけど。・・FAの本公演しか知らないお客様・・特に「1999年の夏休み」公演以降から見に来て頂いている方々は、きっとびっくりされたと思いますが・・^^
・・ともあれ、本番は無事終了し終演後は再び嵐のような撤収作業!!静かだったのは本番中だけ。FAの次にも他劇団の舞台がある為、スタッフは大忙し・・終演後の盛り上がりは「打ち上げ」まで持ち越しとなる。・・舞台関係搬出を終え、本番終了!!

さあ、「打ち上げ」だ〜!みんなは「打ち上げ」のために舞台をやっているわけではないのです。(当たり前!)でも本番が近づいてくるとまるで合言葉のように「終わったら打ち上げだ!がんばろう!!」といった言葉が飛び交う。搬出後、劇団倉庫へむかったトラック組、片付けに残った舞台組、そして出演者達が合流して「打ち上げ」が行われました。12月の「19−」公演後、忙しく今回の準備に入った為ちゃんとした「打ち上げ」パーティーをやっていなかったので、楽しかったです!舞台では「女」役でとても美しかったFA初舞台のまゆが振り付きで歌う「津軽海峡冬景色」お見せできないのが残念です。(彼女、もとはバレリーナのはずなのに・・もうこれでコメディ路線だ^^)・・本当にみなさん、お疲れ様でした。

本番の舞台作りを助けて下さった演フェス・スタッフのみなさん、お世話になりました。
そして・・今回、FAの舞台を観に来てくださったみなさん、本当にありがとうございました。
次回公演でお会い出来るのを心より楽しみにしています!(次回本公演はわかりやすいFAらしい舞台をやりますので・・^^)

・ ・さて、次回本公演の準備に入らなくては!!公演会場、日時、演目・・ともに決まり次第お知らせします。

FANTASY ADVENTURE  本公演にむけて発進!!
これからもよろしくお願いします!!
『舞台袖から・・・』

『舞台袖から・・・』

2000年2月27日(日) 16:00
開演5分前のベルが鳴る。
キャスト4人は、すでに袖にスタンバイしている。
スタッフの配置もすべてOK。
さあ、幕を上げましょう。

今回のステージは、「実験的演劇三部作」の結びの作品として生まれました。
「作品のテーマを変えることなく、舞台での表現を変化させる事でいったい何が生まれてくるのか?」
常に新しい舞台造りに挑戦するFANTASY ADVENTUREが95年発表の「キーワード」98年発表の「Yu.Ki.O」に続き、舞台の常識にとらわれない作品造りに挑戦です。

幕が上がるとそこには暗闇に浮かび上がる「私」の姿。
「私」は、時に「男」になりまた「女」になり、心の扉を開ける為自分の中に存在する「陰と陽」の部分と対面する。
人間のあらゆる面を表現しようと試みた「MINE」では、メインにくる「私」の力量が問われる事になる。
役者として演じ歌い踊り、表現の基本を見つめる事でしかこの作品は完成しない。
そういった意味では、葵かずきというアクターでなければこのステージを造る事は難しかったかもしれない。
葵が演じる「私」に4人の役者が絡んでいく。
普段は表に顔を出さない音響が演者となり、4メートルもの空中で芝居をする者もいる。
シンプルな舞台の中で新しい試みが盛りだくさんの迫力ある作品に仕上がったと確信している。
今後もチャレンジ精神を忘れることなくFA流の舞台を生み出して行きたいと思う。

(舞台監督  田中しのぶ)