本番レポート

……というより、本番前日までの1週間連続稽古は辛かった。今回は稽古期間が短くて、仕上がりが悪いとの理由からスタッフ、キャスト入り交じりのラストスパート大作戦だった。
照明も音響も何度も打ち合わせ、妥協を許さない日々が続いた。役者もスタッフも皆、精一杯がんばった。ああ・・・プ●ジェクトX的な日々でした。

 7/2  仕込みの日 

朝、9時30分集合と関係各位に連絡がいっている。
少し早めに行ったら、もう舞台監督、照明スタッフ、音響スタッフ・・・すでに集っていつでも業務開始できる体勢で待ち構えている。

いつも思う。私たちはスタッフに恵まれている。

9時30分、怒涛のように作業が始まる。各部、仕事がはやい・・・まさにプロの仕事場だ。この時間がとても素敵だと思う。
華やかに見える舞台の裏でこんなにも多くの人たちが試行錯誤を繰り返して、ひとつの空間と時間を創り上げる。舞台は素晴らしいと改めて実感した。

夕方までに各部が各場面チェックを出来る状態に仕上げてくださった。念入りな照明空間作り、舞台組み、音響の接続・・・誰一人、手を抜かない。
入念な「場わたり(各場面の照明や舞台段取り、音響等のチェック)」が終わる頃にはホール退館時間がきていた。

 密告ネタ 1 

稽古場のクーラーは自動管理になっていて、私達が温度管理できないようになっている。
かずきさん(葵)はパーカーやタオルをいっぱい持ってきて保温している。
ダンサー的でそれなりにサマになっている・・・んだけど
首に巻いたタオルだけは「土建屋のお兄ちゃん」に見えてしまう。
「だって体冷えたら調子悪くなるんやもん!」と葵氏。
女医役のなちさん(梦月)は「寒いから白衣を着ます!」と普通に白衣を着ている。
最近は何だかその姿が普通に見えてきました。
その中で吹雪役のかず(谷地)だけがTシャツでいる。
…わ、若さの差…なんて思いたくない。

 7/3  本番初日 

昨日からのメンバーに加えて制作スタッフの皆が集る。
第1線で活躍する芝居仲間が沢山集ってきてくれた。最高だ。
こうやって一つの舞台つくりに協力し合える幸福感は普通の友人関係だけでは決して味わえない。皆、本番の準備を念入りに的確にやりながらも、現場スタッフにねぎらいとキャストへの励ましを忘れない。

最高の舞台スタッフ、制作スタッフ、そして多くの愛情に支えられて『さくら』の舞台は出来上がっている。

朝からはゲネプロ。終わっても会場ギリギリまで各部のチェックは繰り返されている。役者達はメイクと準備、制作チームは受付や客席、舞台スタッフは各々のポジションで本番までの準備を始める。

・・・本番、お客の入りは上々。役者もスタッフのパワーをもらっていつもより本番が一番いい顔をしている。これだからやっぱり舞台は素晴らしい。おそらく練習時とは違う「ホンモノ」の時間がそこにあった。

・・・終演・・・いい舞台だった。自画自賛!!

 密告ネタ 2 

本番が近付いた。
とっくんさん(徳永)は女優の鑑・・・かどうかわかりませんが
コラーゲンを飲んで、お肌の調子を整えているそうです。
本番に綺麗に見える為とはいえ、涙ぐましい努力ですね。

 7/4  楽日 

今回は2ステージしかないのでとてもさびしい。

今回は舞台、制作スタッフも初めて組む人が多いのに本当に素晴らしいチームワークでこの舞台が終わってしまうのが、そういう意味でもものすごくさみしい。人の出会いとタイミングはとても不思議だ。でも、がんばっていればきっと素晴らしい瞬間を体感出来る!そう信じてやってきたのは決してうそではなかったと思える。

キャストは朝9時30分、スタッフは11時30分集合となっていたにもかかわらず
ほとんどの関係者が早くから集り、語り、うちとけ・・・ラストステージに備えていた。
今回出会った皆に心からの感謝を贈りたい。

さて、ラスト本番の時間が近づく。2日目というのはいつも微妙な精神状態になる。初日の緊張を引っ張りながらも身体の疲れと2日目だという安心感・・・様々な思うが交錯する中で本番はやってくる。しかも今回は2ステージしかない。

この時間をホンモノにするためにも全力でぶつからねば!と誰もが思っていた。

幕があがる・・・前日のお客様に比べ、病院関係者等が多く年齢層も高めで初日とはあきらかに客席の空気が違う。同じ演目でも「同じ舞台」は二度とはない。今日のお客様にメッセージは伝わるだろうか?・・・手応えは充分だった。
前日の反応と全くちがう「笑い」と「涙」が客席に生まれていた。前日の舞台が活動的、この日の舞台の方はしっとり出来上がっていたように思う。

・・・終演。「お疲れ様でした!」の声が飛び交う。

何とか無事終わった。全ての関係者の力の集結した舞台だった。感慨にふける間もなく、怒涛のようにバラシが始まる。・・・早い。このメンバーで会社1個作ったらきっと成功するだろうなぁ・・・なんて、漠然と感じているスキに「ピーターパン☆ホスピタル」の舞台はネヴァーランドへと帰っていった。

また、いつかこんな時間を体感できると信じている。とても幸せな舞台だった。

バラシ終了後、打ち上げ!新しい出会いが、会話が飛び交う。
ほんの偶然、出会ったこの時間とメンバー・・・出会いの不思議と素晴らしさを実感しているうちに打ち上げも終り、解散の時間。
一期一会・・・素晴らしい時間は過ぎ、関係者は次なる各々の目標に向かって自分達の帰るべき場所へ帰っていった。この舞台で出会った全ての人に感謝しつつ、次回も更なる成長を約束したいと思う。

舞台、制作、キャスト、助けて下さった全ての皆さん・・・ありがとうございました。
本番をごらん頂いた多くのお客様、心からありがとうございました。
「さくらさくらカンパニー」は必ず成長していきます。
また、新しい一期一会を楽しみに・・・。

 密告ネタ 3

とっくんさんは今回、事故で入院するOL役。
前回の新選組の舞台の山南敬助とは全然ちがう役所。
本番が近付き、役になりきろうとするとっくんさんに
悪戯大好きのなちさんとかずきさん、「山南さん!」「山南はん!」と横から声をかける。

「やめてよ〜!今は普通のOL役なんやから〜〜!」

と本気で訴えるとっくんさん。
なんだか可愛らしい。(…おっと、後から殴られるかも)

 誘われた?ピーター?! 

劇中、病院にやって来たピーターパンが咲子と吹雪に自分の事を話すシーンがあります。

「・・・いつもは『大人になりたくない!』って子供が僕を呼ぶんだ」

と言うセリフをピーター役のかずきさん

「・・・って子供が僕を誘うんだ

といっていた。そうか、ピーターは子供達に誘われていたのか?
誘うのはピーターパンの方じゃないのかなぁ・・・
 別のピーター 

イマドキの子供は普通の誘い方ではネヴァーランドに来ないと吹雪(谷地)に教えられたピーターパン(葵)はオカマ言葉で皆をネヴァーランドへ誘おうとします。

「・・・むずかしいな、ホントのオカマに見えたら困るし。かといって普通に見えてもつまらないしなぁ。実はオカマ役がいちばん得意やねん。アタシを『ピーター』って呼んでもいいわよ。」

オカマ役が得意なのはわかりますが、そ・・・それは別のピーターじゃないかと。
 ダメ出し 

事故で怪我をした咲子役のとっくんさん(徳永)、本当に怪我をしていましたが
おかげさまでかなり回復された様子に関係者一同、ホッとしていました。
本番が近づき、カーテンコールの演出をつけられていたとき

「とっくんさん、ラストは松葉杖かついで入って下さい!」

・・・それから本番までの間、カーテンコールの練習する度に
「ラストはもっと軽々と松葉杖かかえて」「客席に笑顔見せて」「最後に一呼吸置いて、ゆっくり入って来て下さい」

等々・・・細かい演出が要求された。

「この作品の中で私がダメ出しを一番多く受けたのはラストのカーテンコールじゃないかなぁ。そこばっかりダメ出ししないで下さい!」
 僕(しもべ)になります! 

リハーサル中、吹雪とピーターの対話で、頭の中真っ白になったピーター役の
かずきさん。隣にいる吹雪役のかず(谷地)に小さな声でセリフを教えてもらう。
リハーサルは無事終了!

「あんなところで頭が真っ白になるなんて思わなかった。かずが教えてくれなかったら危なかったよ〜! ありがとう、かず。僕、一生キミのしもべになります!!」

と宣言兼お礼を言っていた。本番は・・・大丈夫だった。
 今回は 

本番前のメイク中、新選組「さくらのごとく」をやったとっくんさん、かずきさん、なちさんはしきりに

「今回はメイクが楽だ〜〜!髪も結わなくていいし、白塗りも、カツラも、着物もないし〜〜!!」

と連発していた。
たしかに時代劇は頭はちょんまげ、着物にハカマに羽織、刀・・・
なちさんの明里に至っちゃ遊女だから前帯お引きずりツブシ鬘簪が7〜8本着替えが数回顔は白塗り……

今回は現代モノだし、確かにこの3人メイクも用意もあっという間だったような気がする。次回作からまた、時代物が続くよ。
今回の楽さは、つかの間のシエスタだと知っているかな?
 スタッフ奮闘編@〜じい(吉田)の場合〜 

『FAのドラえもん』 こと、じいは今回も大奮闘!
舞台バックに窓にも扉にも見えてヨーロッパ調のセット・・・というまるでなぞなぞのような演出の注文にばっちりと答えていた。
素材は木材なのに木目じゃなく「石」に見える。本当に質感までざらざらしていて何で作ったのかわからない。

「これ、どうやって作ったんですか?材質は?!」
と質問したら「秘密です。」と企業秘密を誇示されてしまった。

ん〜、何度見てもわからない。

また、劇中で出て来るティンカーベルは当初、じいの工夫した点滅して羽の動く
「ティンカーベル」人形だった。演出の都合で「なし」でいくことになり、受付に置かれることになった。

それは見事なもので、スイッチを入れるとティンクの背後のピンクのライトが点滅して羽が揺れる。

ピーター役のかずきさんは「舞台デビューなしなんてもったいない〜〜!」としきりに悔しがっていた。

きっとこれらの大、小道具を作るのにじいは何度徹夜を繰り返された事だろう。
お疲れ様でした、ゆっくりしてください。・・・つかの間の休息ですから。
次回はロココものですよ。
 スタッフ奮闘編A〜舞台監督・青野氏の場合〜 

舞台監督・青野さんはとても有能な舞監さんだ。
今までも何度かFAの舞台を作ってくださっているがその仕事振りはまさに職人!! 
そのものだ。

普段はもの静かで、無口で笑うととても爽やか・・・でも、作品の中身や演出の意図はしっかり理解した上で確実なアドバイスを下さる。
稽古場に1週間に1度は必ず足を運び、皆の様子を見て本番まで一緒に作ってくださった感がある。

いざ、仕込み日になると鬼神のように早い確実な仕事振りを発揮されて皆を驚かせていた。そして、役者やスタッフが動きやすいように細部まで心配りをしてある。

「僕はこれをやってあげたから!」なんて一言も言うことなく、さり気に足元が悪いと心配していた場所に灯りが置いてあったり、客席から見えそうな幕内はちゃんと別布がはってあったり・・・FAはいつもいつも、スタッフさんに恵まれている。
特に今回は青野氏のおかげで本当に気持ちよく舞台本番が終了した。
ありがとうございました。

・・・余談ですが、打ち上げ時に舞監の責任から開放されて酔っ払った青野氏・・・少年のようでした。

また、よろしくお願いします。
 全体の印象 

誰に聞いても「楽しかった」と思える舞台だった。

本番前は上がりが悪くて本当に心配されていたし、直前の稽古はほぼ連日で
10日近く続いたし・・・いつもより、また違う意味で大変だったけど「楽しかった」と言い切れるのはそれらを乗り切った証拠のように思う。

昨年12月、「さくら2co」として初めての時代劇、2月公演の度重なるハプニングと代役公演、そして今回・・・どれも大変な舞台ばかりだった。

きっとこれからも「大変」は用意されているんだろうけど一つひとつ乗り越えていきたいとメンバーは思いを新たにしている。

私たちの舞台を応援し続けてくださる、多くの皆様・・・暖かく、末永く私たちを見守り一緒に元気にやっていきましょうね。

これからも「FA企画・さくらさくらカンパニー」をよろしくお願い致します。